消防防災ヘリコプターの"救急ヘリ"としての能力評価に関する検討
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概要
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<B>背景</B>:消防防災ヘリコプター(以下,消防防災ヘリ)の救急出動件数は年々増加傾向にあるが,ドクターヘリの出動件数との比較では明らかな差が認められている。本研究の目的は,消防防災ヘリの"救急ヘリ"としての能力を評価しドクターヘリとの差違を視覚化することによって,各々の全国の消防防災航空隊が何を改善すべきか,その目標を示すことである。<B>対象と方法</B>:日本救急医学会「航空機による救急搬送検討委員会」によって,全国の消防防災航空隊53機関を対象にアンケート調査が行われた。調査項目を「救急業務上の周辺環境」(以下,「Condition」)と「出動前後の機動性」(以下,「Mobility」)の2つに分類したうえで,ドクターヘリの運用を基準として点数化し,救急ヘリとしての能力を2次元的に評価した。<B>結果</B>:53機関すべての消防防災航空隊からアンケート調査の回答が得られた。評価基準となるドクターヘリの点数は,「Condition」で12点,「Mobility」で15点であり,消防防災ヘリの中央値はそれぞれ5 (2-13),5 (2-11)であった。「Condition」を横軸,「Mobility」を縦軸にそれぞれの各消防防災航空隊の点数をプロットしたところ,高知県防災ヘリ,福岡市消防ヘリ,兵庫県防災ヘリ+神戸市消防ヘリの3つの消防防災航空隊が,もっともドクターヘリに近い運用を行っていると評価された。<B>結語</B>:多目的ヘリである消防防災ヘリの"救急ヘリ"としての運用は,「救急業務上の周辺環境」と「出動前後の機動性」の両面で,ドクターヘリとの比較において未だその差は大きいと考えられた。ドクターヘリの配備が全国レベルで進められている現状では,いまや「ドクターヘリか,消防防災ヘリか」という議論をしている状況ではなく,ドクターヘリ配備でもなお病院前の医療資源が充足しない救急医療需要に対して,消防防災ヘリを如何に活用するかを議論することが必要である。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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