左室内血栓を生じ開心術下血栓摘出術にて救命した劇症型心筋炎の1例
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概要
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劇症型心筋炎の治療中に左室内血栓を生じ,開心術下に血栓摘出術を施行し救命した症例を経験したので,文献的考察を加え報告する。症例は40歳代男性で特記すべき既往はない。感冒様症状を自覚してから4日後に近医受診し,肝逸脱酵素の上昇(AST/ALT:2,426/1,835 IU/l),ショック症状を認めたため当施設へ転院となった。搬入時,血圧90/68mmHg,心拍数120/min,SpO<SUB>2</SUB> 80%(酸素マスク15L/min投与下)で,心エコー上心嚢液貯留を認め,%fractional shortening(以下,%FS)は3%と極度に低下していた。感冒様症状の先行と急激に悪化する心不全所見より劇症型心筋炎による心原性ショックと診断し,直ちに気管挿管による人工呼吸管理・経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS)と大動脈内バルーンパンピング(intraaortic balloon pump; IABP)による循環補助を行うと共に,カテコラミン製剤,カルペリチド,免疫グロブリン製剤,ステロイド剤の投与を開始した。一時,%FSがゼロまで低下したが,第2病日頃より自己心による血圧波形が出現した。その後心機能は急激に回復し,第4病日にPCPS,第5病日にIABPより離脱し得た。第6病日のUCG,造影CTにて左室内に径1.3×1.3cm大の球状血栓を認めた。急性期に生じた左室内血栓が急激な心機能の回復に伴い遊離する可能性が危惧され,第6病日に人工心肺装着下に血栓除去術を施行した。術中採取した心筋標本からlymphocytic myocarditisと診断された。術後経過良好で,第45病日に軽快退院となった。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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