高アンモニア血症とショックで発症し血液浄化法により救命し得た高シトルリン血症の新生児症例
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概要
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高アンモニア血症による意識障害で発症し,ショック状態で搬送され,持続的血液浄化により救命し得た新生児症例を経験したので報告する。症例は日齢5の女児。呼吸が不安定となり近医を受診した。無呼吸のため,気管挿管され当センターに搬送された。来院時,自発開眼なく,わずかに体動が認められるのみであった。心拍数166/min,血圧は測定できず,全身強直間代性痙攣が出現した。入院時の血液検査の結果,血中アンモニア濃度が1,175μg/dlと著明に上昇しており,高アンモニア血症による意識障害と診断した。直ちにICU入室となり,人工呼吸管理下に血液浄化(持続血液濾過,持続血液透析,持続血液濾過透析)を開始した。翌日にアンモニア濃度は半減したが正常範囲までは低下を認めなかった。アミノ酸分析の結果より高シトルリン血症による高アンモニア血症と診断しアルギニン,安息香酸ナトリウムの投与を開始した。ICU入室後9日目にアンモニア値が安定したため血液浄化法を中止した。中止後2日目にビリルビンの上昇を伴うアンモニアの急激な上昇を認め,血漿交換を施行するも効果が一時的であったため,持続血液透析を再開した。その後3回の血漿交換と持続血液透析を併用し,特殊ミルクによる経腸栄養を開始した。入室後19日以降は血液浄化を中止したが,アンモニアの再上昇は認めなかった。発症時に痙攣を認めたのでフェノバルビタールを内服しているが,以降,痙攣の再発は認めなかった。体格の小さい小児,とくに新生児においては,血液浄化法の施行に際してvascular accessの確保困難,循環動態に与える影響,低体温など小児特有の問題がある。高アンモニア血症は高濃度のアンモニアおよびその高濃度に暴露された時間が神経学的予後に密接に関係しているため,小児とくに新生児においても積極的な血液浄化の導入を行う必要がある。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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