2年間に3度の手術を行った多発性小腸憩室症の1例
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概要
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症例は49歳,女性。過去2年間に2度,当院にて多発性小腸憩室症・穿孔性小腸憩室炎の診断で小腸部分切除術を受けている。その後市内の病院で経過観察していたが,突然生じた強い下腹痛を訴え,同病院を受診した。腹部CT検査にて小腸の広範囲に多発する憩室と腹腔内遊離ガス所見を認め,消化管穿孔の診断で同日緊急手術が施行された。手術所見では膿性腹水の貯留を認め小腸全長にわたる多発性憩室症を腸間膜側に認めた。Meckel憩室や大腸憩室は認めなかった。Bauhin弁より40cm,20cm口側の回腸に前回吻合部を認めた。65cm口側の回腸に憩室炎,消化管壊死穿孔を認めたため,小腸部分切除術を施行した。術後経過は順調で外来経過観察となった。吻合部より口側の小腸にはまだ全長にわたり憩室が存在した。小腸多発性憩室症はまれな疾患であり国内では11例の報告があるに過ぎず,頻回の手術例の報告はほとんどない。本症例は今後も憩室炎を来し手術を繰り返す可能性があった。多発性小腸憩室症は救急領域では急性腹症手術として遭遇する可能性がある。頻回の手術は短腸症候群を来す恐れがあり,再発の危険性に注意し,退院後も消化器科での厳重な経過観察が必要である。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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