早期高気圧酸素療法により救命し得た心肺停止減圧症の1例―第2種装置保有施設へのヘリコプターを用いた迅速な搬送―
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概要
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症例は28歳の男性,既往歴は特記すべきことなし。水深40mの海中作業中に意識を失い急浮上し,海上での発見者が救急通報した。救急隊現着時,Japan Coma Scale 300,呼吸・循環徴候は確認された。車内で心肺停止となったが蘇生開始後1分ほどで心拍再開した。直近二次救急医療機関搬入時,Glasgow Coma Scale E4V2M5,体温35.6°C,脈拍106/min,血圧103/73mmHg,胸部X線写真で著明な肺水腫を認め人工呼吸管理を開始,循環はカテコラミン投与により維持された。 2 型減圧症の診断で早期の高気圧酸素療法(hyperbalic oxygen therapy; HBO)が必要と判断され,消防防災ヘリにて飛行距離40km,高度300m以下に保ち19分で当院に搬送された。来院直後にUS Navy Table 6AでHBOを実施し,その後呼吸状態は急速に改善,肺水腫像も著明に改善した。第 3 病日に抜管,人工呼吸器より離脱した。第8病日に左臀部から下肢の感覚障害が顕在化した。頭部MRIで数か所に窒素塞栓によると考えられる梗塞像を認めたが神経所見とは一致せず。脊髄MRIでは異常所見はなかった。減圧症の末梢神経型および中枢神経型(画像所見のみ)に対して第12病日から第15病日まで再度HBOを施行し,症状および画像所見が改善した。救急隊,二次医療機関による迅速な蘇生処置・ヘリコプター搬送,早期HBO(第 2 種装置での呼吸・循環管理を行いながらのUS Navy Table 6A)の連携が心肺停止に陥った減圧症患者の救命を可能にしたと考えられた。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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