眼窩刺創による内頸動脈海綿静脈洞瘻の1例
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概要
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症例は58歳の男性。生活保護下で自立支援センターに入所中であった。入所中の同僚と口論になり,顔面や胸部を数箇所にわたりナイフで刺されたため当院に救急搬送された。来院時,右眼球破裂,右前額部切創,両手指切創,右前胸部切創を認め,頭部CTにてクモ膜下出血を認めた。ICUに入室後,右角膜・強膜縫合,眼瞼縫合術を行った。第5病日より歩行時のふらつき,左片麻痺,右眼窩の血管雑音を認め,頭部CTにて右多発脳梗塞を認めた。脳血管撮影にて右内頸動脈海綿静脈洞瘻と診断された。右内頸動脈海綿静脈洞瘻に対し血管内治療による瘻孔塞栓術を 2 回施行するも瘻孔の閉鎖は困難であったため,第26病日に右前頭側頭開頭にて瘻孔部trapping術を施行した。術後経過は良好で血管雑音の消失,左片麻痺の改善を認め,独歩可能となり第75病日に転院となった。経眼窩的穿通性損傷の際には経過中に外傷性内頸動脈海綿静脈洞瘻に伴う神経症状が出現しないか注意深く観察する必要がある。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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