初期臨床研修医の専門分野選択に関する調査―男女共同参画の視点から―
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概要
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<B>目的</B>:本邦医師の17%は女性であり,近年の医師国家試験合格者の30%以上を女性が占めているが,本学会では正会員の8.8%,専門医の4.7%,指導医の1.3%に過ぎない。不足しているとされる救急医の確保には女性救急医を増やす努力が必須であるが,その方策は明らかでない。本研究の目的は初期臨床研修医が救急医学を選択するか否かを決断する際に重視する要因を男女共同参画の観点から検討することである。<B>方法と結果</B>:初期臨床研修医51人(女性20人)に無記名アンケート(初期臨床研修終了後に選択する可能性のある専門分野,結婚や育児が医師としての生涯教育,職務,あるいは進路選択に影響するか否か,進路選択の際に考慮する要因)を行った。回収率及び有効回答率は100%であった。救急医を志望する可能性のある臨床研修医は33%に認められた。女性が男性より多く志望する分野は産婦人科(Odds比=30,95%信頼区間:3.4-265)と小児科(3.2,1.0-10)で,救急医学(0.1,0.0-0.6)と外科(0.2,0.0-0.6)では女性志望者が少なかった。救急医志望者は非志望者と比較して結婚や育児が生涯教育や職務に及ぼす影響を小さく評価していた(p<0.05)。アンケート結果を男女間で比較すると,女性研修医は男性より結婚や育児による生涯教育や職務への影響や進路選択への影響を重視していた(p<0.01)。進路選択に関与する要因を主成分分析で解析すると,good life-work balanceの重視と専門性の重視の 2 成分が抽出された。救急医を志望する可能性のある研修医の特徴は,進路選択の際にgood life-work balanceを軽視することであった。<B>結語</B>:研修医の30%以上が救急医を志望する可能性があるが,女性研修医に限定すれば10%に過ぎず,救急医志望の有無には有意な性差が認められた。この性差には,結婚や育児に関する懸念が関与しており,救急医を志望する女性医師を増加させるためには,仕事と家庭の両立を可能にする具体策立案とロールモデルが必要と考えられた。
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一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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