看護師による救急外来でのトリアージシステムの質に関する検討
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概要
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<B>背景</B>:救急外来では医療の需要が供給を上回る状況が多々存在する。このような場合に患者の診療の優先順位を決めて,その流れをコントロールする手段として看護師によるトリアージが注目されている。当院で実施しているトリアージを事後検証して,その"質"の検討を行った。<B>対象と方法</B>:2008年 4 月から 9 月までの 6 か月間に,救急車以外で当院救急外来を受診した患者を対象とした。患者を 4 段階のトリアージカテゴリーに分類し,それぞれの頻度や入院率,診察開始までの時間を算出した。また医師と看護師が協働して 3 段階の事後検証を行い,アンダートリアージ率,オーバートリアージ率を算出した。トリアージが最も効果を発揮すると期待した'胸痛'患者群を抽出してカテゴリー別入院率を調査し,更に急性心筋梗塞患者群で検証開始前後の時間経過を調査した。<B>結果</B>:期間中の対象患者は7,270人で,カテゴリー別頻度は,「緊急」 2 人(0.03%),「準緊急」416人(≒ 6 %),「やや緊急」1,884人(26%),「非緊急」4,968人(68%)であった。診察までの時間(平均±SD)と入院率はそれぞれ,「緊急」5 ± 7分;50%,「準緊急」26 ± 21分;44%,「やや緊急」35 ± 22分;16%,「非緊急」43 ± 31分;1.3%であった。アンダートリアージ率は0.28%,オーバートリアージ率は0.37%であった。"胸痛"患者群の入院率は,「準緊急」43%,「やや緊急」15%,「非緊急」0.6%であった。急性心筋梗塞患者群で受診から心臓カテーテル室入室までの平均経過時間は,検証開始前で120分,開始後で97分と23分の短縮を認めた。<B>結語</B>:看護師のトリアージによって,より重症の患者に,より迅速に診療を開始できる。急性心筋梗塞患者群で治療開始までの時間の短縮を認めたように,事後検証を行ってフィードバックを繰り返すことにより,トリアージの"質"の向上が期待できる。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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