急激な経過を呈したPheochromocytoma multisystem crisisの1例
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概要
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我々は急激な経過で死に至ったpheochromocytoma multisystem crisis(以下PMCと略す)の 1 例を経験したので報告する。症例は38歳の男性。入院前日より腹痛,嘔吐が認められ,他院を経て当院へ転送された。来院時,血圧138/104mmHg,脈拍120/min,体温38.1°C,四肢末梢チアノーゼ,全身発汗が著明であった。血液検査では低酸素血症,代謝性アシドーシス,腎障害,肝障害を認めた。胸腹部CTでは両肺に末梢性のスリガラス陰影と右腎に接する径10cm大の腫瘤を認めた。当初,肺炎,敗血症を最も疑い,気管挿管のうえ,呼吸循環管理を開始した。入院後 9 時間までは循環動態は安定していたが,入院10時間後,心電図上前胸部誘導でST上昇を伴う急激な血圧低下がみられ,経皮的心肺補助装置を導入したが心肺停止となり,心肺蘇生を施行するも心拍再開得られず,入院11時間後に死亡した。剖検はできなかったが,死亡後に血中カテコラミンの異常高値が判明しPMCと診断した。PMCは,褐色細胞腫クリーゼのなかでも,多臓器不全,高熱,脳症,重篤な血圧異常を 4 徴とし,非常に稀で致命率の高い病態である。その多彩な臨床像より,とくに発症急性期での診断は困難な場合も多い。副腎腫瘍を伴い,発熱及び急速に進行する多臓器不全を呈した場合,PMCを鑑別にいれるべきである。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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