精神科病床を持たない二次救急医療施設の救急外来における向精神薬過量服用患者の臨床的検討
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概要
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向精神薬を意図的に過量服薬し救急病院を受診する患者の臨床的特徴及び救急外来における対応の現状を明らかにするために,2004年 1 月以降の 3 年間に神戸市立医療センター西市民病院(旧・神戸市立西市民病院)の内科救急外来に受診した過量服薬患者194名(件数273件)を対象として遡及的に検討した。対象例は同期間の救急外来受診件数全体の0.75%を占めており,平均年齢は36.2 ± 13.3歳,性別は男35名(39件),女159名(234件)であった。推定服薬時刻から来院までの平均時間は 4 時間 9 分であった。救急車による搬送例は167件(61.2%)であった。服用量が多いほど来院時の意識レベルは低かった。服用薬物は大多数が医療機関から処方されたものであり,ベンゾジアゼピン系が最多であった。アルコールの同時摂取例は救急搬送及び入院の割合が高かった。ICD-10に準じた精神科的基礎疾患としてはF3(気分障害)とF4(神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害)が多かった。救急外来で血液検査を施行する頻度は高かったが,心電図や胸部X線撮影を施行する頻度は低かった。また,活性炭投与を施行する頻度は胃洗浄を施行する頻度よりも低かった。全受診例のうち126件(46.2%)が入院を要した。救急車による搬送例はそれ以外の患者と比べて入院を要する割合が高かった。入院例の在院日数の中央値は 2 日であった。死亡例はなかった。当院精神科医への診察依頼があったものは94件(34.3%)あった。救急外来からの帰宅後または退院後 1 週間以内に過量服薬で再受診した症例は21件(7.7%)あった。これらの結果は,一般病院の救急外来を受診する向精神薬過量服用患者の臨床的特徴を示すとともに,救急外来における過量服薬患者への救急医学的,精神医学的対応の現状と問題点を指摘するものであり,今後更なる検討が求められる。
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一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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