死因不明であった症例の監察所見による統計学的考察
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概要
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死因不明症例の対処法は, 解剖による方法が推奨されているが, 必ずしも実施可能なわけではない。また, 医学的な側面からの対応策はマニュアルにはなされていない。われわれはウツタイン様式によるデータベースと監察医制度による検案から死因の推定を目指している。今回, 臨床上死因不明CPA症例について検案・解剖が行われた所見結果を参考にして, 解剖による検案が困難な地域における死因推定の助けのために臨床現場での死因検索チャートの作成を試みた。対象と方法 : 2001年1月1日から2003年12月31日までの3年間のウツタイン様式に基づいた2,606症例中, 内因性と判断されるが死因不詳で, かつ監察医制度によって死体検案・解剖が行われた症例226例について, 臨床所見等と比較検討した。結果 : 検案のみが76例, 解剖実施150例で, 死因が判明した内訳は, 虚血性心疾患31%, 脳血管障害7.1%, 心疾大血管疾患7.1%, 誤嚥・窒息8.4%, その他心疾患11.1%などとなった。また, 院外CPAに至る前に何らかの前駆症状の情報があった症例はたった20例であった。考察 : 大血管疾患, 消化管穿孔, 薬物中毒, 代謝異常などの特定の疾患による死亡例では検案のみでは判断が難しく, 解剖を必要とする場合が多かった。理学的所見や検案からCPAの死因を判断すること, 臨床上得られる検査結果なども種々の影響を受けてしまうために有用ではないことが多い。院外CPAの前駆症状は原因診断をする際の重要な情報であるが, その情報が入手されることは少ない。解剖が実施困難な地域で死因の推定が困難な院外CPAに遭遇した際にも活用できるように, 本研究結果で死因頻度が高い, (1) 虚血性心疾患, (2) 大血管疾患, (3) 脳血管疾患, (4) 窒息・誤嚥の順に死因推定を進めるためのフローチャートを作成した。
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一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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