マルチスライスCTが受傷急性期の診断に有用であった外傷性右横隔膜ヘルニアの1例
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概要
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マルチスライスCT (以下MSCTと略す) で, 受傷後急性期に診断し得た外傷性右横隔膜ヘルニアの1例を経験した。症例は37歳の男性。乗用車運転中の事故で受傷。来院時ショック状態であった。初回胸部X線写真と胸腹骨盤部MSCT検査axial像では, 右多発肋骨骨折, 右肺挫傷, 右血気胸, 腹水貯留, 肝挫傷, 骨盤骨折を認めたが, 右横隔膜ヘルニアは指摘できなかった。右胸腔ドレナージ後の胸部X線写真で右横隔膜上に楕円形の異常陰影が認められたので, 至急MSCTのmultiplanar reformation画像を作成して確認すると, 外傷性右横隔膜ヘルニアと容易に確定診断できた。肝動脈と両側内腸骨動脈の造影検査及び肝動脈の塞栓術の後, 緊急開腹手術を行い, 右横隔膜に11cmの裂創を認め, これを修復した。術後は経過良好で, 術後30日目に松葉杖歩行で退院した。右胸腔ドレナージ直後に認められた血圧低下は, ドレナージの陰圧により肝臓が胸腔内へさらに突出し, 肝臓や横隔膜によって右心房が圧迫され, 一過性の閉塞性ショックを起こした可能性があると推測された。MSCTは, 従来診断が困難とされてきた受傷後急性期の外傷性右横隔膜ヘルニアの診断にきわめて有用であった。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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