救急車で搬送された山口県内熱中症患者の重症度に関する疫学調査
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概要
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背景 : 熱中症患者の病院前から来院までのバイタルサイン, 重症度 (安岡らの熱中症分類) についての疫学データは少ない。目的 : 熱中症を労作性と非労作性 (古典的) に分類し, それぞれの特徴を明らかにする。次に重症度をI~III度に分類し, III度に関連する因子を明らかにする。対象・方法 : 2006年7月1日から8月31日の間に山口県内で発生した熱中症患者のデータを消防と医師会の協力を得て集計し, 分析した。結果 : 救急車搬送患者は339人。そのうち医療機関のデータと照合できたのは92人 (27%) であった。2人の来院時心肺停止を除く, 90人について検討した。労作性熱中症患者は65人, 古典的熱中症患者は24人, 不明1人であった。古典的熱中症患者は労作性に比べると有意に高齢で, 男性の比率が少なく, 救急現場での酸素飽和度 (SpO2) が低かった。また, 来院時III度の比率が低い傾向にあった。次に, 病院での重症度をI/II度 (52人) とIII度 (38人) に分け, 比較したところIII度の患者は有意に男性に多く, 救急現場と来院時の収縮期血圧が低く, 入院日数が長かった。また, 屋外での発生, 労作性によるものが多い傾向にあった。III度に関連する独立危険因子は50歳以上 (オッズ比 (OR) 4.37, 95%信頼区間 (CI) 1.31-14.59, p=0.016), 男性 (OR 4.78, 95% CI 1.34-16.95, p=0.016), 労作性 (OR 5.57, 95% CI 1.31-23.77, p=0.020), 来院時収縮期血圧 (5mmHgの増加で) (OR 0.83, 95% CI 0.73-0.95, p=0.006) であった。結語 : 50歳以上の男性の労作性熱中症患者で, 来院時収縮期血圧の低い傾向にある場合, 重症である可能性が高いことが判明した。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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