経空腸瘻投与の高張食塩水が原因と思われた限局性小腸炎の1例
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概要
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症例は79歳, 男性. 脳梗塞による嚥下障害のため空腸瘻を造設し, ラコール®1,200kcal/24hr, 食塩3g/分3の投与にて管理されていた. 経腸栄養開始2カ月後, 腹痛が出現し, CTにて空腸瘻カテーテル周囲の腸管の壁肥厚と壁内ガス像, 多量の腹水を認めた. 腹腔穿刺を施行すると, 腹水は混濁しグラム陰性桿菌を認めたため緊急手術となった. 空腸瘻カテーテル周囲の腸管に限局性の腸炎を認めるも穿孔は認められなかった. 腸炎の原因として, 空腸瘻のカテーテル自体による影響は考えにくく, 食塩の投与方法が疑われた. 食塩1gを20mlに溶解すると浸透圧は1540mOsm/mlであり, 腸管内が高浸透圧となり腸炎を引き起こしたのではないかと考えられた. 空腸瘻より食塩を投与する際は, 食塩を多くの水分で希釈し浸透圧を下げて投与するか, あるいは経静脈的に投与するような工夫が必要であると考えられた.
- 日本臨床外科学会の論文
日本臨床外科学会 | 論文
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