シンクロトロンX線回折および中性子回折による無機エレクトライドCa12Al14O32の歪構造の精密解析
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概要
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還元率0%から50%の無機電子化物の結晶構造を,放射光X線と中性子線回折法を使用して研究した。電子化物はC12A7(12CaO·7Al<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>)の単位格子中にある12個のケージから2個の酸素原子を引き抜いて作成する。2個の酸素原子は12個のケージ中に,自身の存在するケージと近傍のケージを歪ませながら無秩序に分布する。本文中ではO3としているこの酸素原子によるケージの歪みは非常に大きく,Al-O結合の一つは切断されAl-O3結合が形成される結果,新しいAlO<SUB>4</SUB>四面体ができるほどである。また,O3の存在により,ケージ中の他の原子は統計的に分布すると考える必要が,換言すれば,原子を最大4個に分けて取り扱う必要が生じる。一方,O3は結晶学的には一般位置にあるが,点群対称4 バーを持つケージ中心の近傍に位置するため,席占有率は2/(4×12)と非常に小さい。O3の席占有率が小さいのにもかかわらず,ほとんどの予測された分裂原子が差フーリエ図上で見つかった。次に,O3が4個のうちの一つの席に在るとき,それに基づく歪みに対応する結晶構造を,分裂原子のうちから選んで再構築した。歪構造の妥当性は,分裂原子周囲の静電ポテンシャルを計算して評価した。決定したC12A7の歪構造は,部分還元された電子化物でも基本的には変わらない。歪構造はほぼ決定できたが,ケージ中にあると考えられている'自由電子'は測定できなかったので,近い将来,より精密な中性子及び放射光X線回折実験を行う予定である。
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