T-for-H交換反応におけるL-ノルバリンの2段階同時反応解析‐極性効果と立体効果の影響に対するTaft式の適用‐
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概要
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トリチウム(<SUP>3</SUP>H又はT)が生態系に及ぼす影響と水素を含む化合物との反応性を定量的に評価するために,L-ノルバリンとHTO蒸気との間の水素同位体交換反応(T-for-H交換反応)を,50~70℃の温度範囲で固-気系で観測した。得られたデータにA″-McKayプロット法を適用することで,この反応における各官能基の速度定数を求めた。これらの速度定数を相互比較した結果,以下のことが明らかになった。(1)L-ノルバリンの官能基の反応性は温度の上昇と共に増加する。(2)L-ノルバリンにおける各官能基の温度依存性はCOOH基>NH<SUB>2</SUB>基であり,COOH基の反応性はNH<SUB>2</SUB>基のそれの約2.2倍である。(3)COOH基の反応性に及ぼす置換基の影響はNH<SUB>2</SUB>基の反応性に及ぼすものに比べ大きい。(4)アミノ酸の反応性はTaft式に従うと考えられる。(5)Taft式を適用すると,L-ノルバリンの反応性に与えるアミノ酸の極性効果と立体効果の影響はNH<SUB>2</SUB>基では10:0,COOH基では3:7である。(6)A″-McKayプロット法を使うことで,Tの挙動をマスク剤なしで非破壊的,定量的に複数の官能基を持つ物質を各官能基別に同時解析することができる。(7)本研究で用いた手法は,物質における官能基の反応性を迅速に求めるための手法として役立つことが期待される。
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公益社団法人 日本アイソトープ協会 | 論文
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