`11´CO2と植物用ポジトロンイメージング装置を用いたダイズ植物の根粒に対する光合成産物移行のリアルタイム解析
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概要
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ダイズ植物の根粒に対する光合成産物移行について,ポジトロンイメージング装置とポジトロン放出核種<SUP>11</SUP>Cで標識した二酸化炭素トレーサを用いて解析した。特に,多数の小さな根粒を着生するものの生長が劣ることが知られている根粒超着生変異系統NOD1-3を用い,その地下部における光合成産物の動態について親系統との比較を行った。<BR>変異系統,親系統いずれも,<SUP>11</SUP>C-光合成産物は20分以内に根の基部に到達し,1時間以内には根の先端に到達した。地下部へ移行した<SUP>11</SUP>C-光合成産物のほとんどは,根の基部に密集する根粒に蓄積しており,基部の根粒には遠位の根粒と比較して,根粒1個あたりでも根粒体積あたりでも光合成産物の移行量が大きいことが示された。このことは,変異系統,親系統いずれの場合も基部の根粒は窒素固定活性が高いことを示唆するもので,根粒が根のどの部位に着生するかということが,窒素固定活性に対して重要であると考えられた。また,基部と遠位,それぞれの部位において,根粒体積あたりの光合成産物の移行量について変異系統と親系統を比較すると,両者に違いがないことが明らかになった。一般的に変異系統では親系統よりも一個体あたりの窒素固定能が劣るが,これは従来考えられてきたように単に根粒数の増加により根粒全体の光合成産物の消費量が増加するためというより,光合成産物の分配の乏しい遠位への着生割合が増加することが原因であることが示唆された。本研究では,ダイズを用いた個々の根粒への光合成産物の移行について,非侵襲的放射線イメージング技術により解析することに初めて成功した。
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