同種造血幹細胞移植後に両側腎臓にび慢性浸潤を伴って再発した急性リンパ性白血病
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概要
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症例は44歳,男性。急性リンパ性白血病(CD10+,CD19+,CD20 weak)と診断され,第1寛解期にエンドキサン,TBI 12Gyを前処置とした非血縁者間骨髄移植(uBMT)を施行された。移植後20ヶ月が経過した頃から血清クレアチニン(Cre)が徐々に上昇し,移植後23ヶ月にはCre 1.5 mg/dl以上となった。その後もCre上昇するため画像検査を行ったところ,両側腎臓の著明な腫大が認められた。腎生検では間質にTdT, CD10, CD19陽性の中型から小型のリンパ球がび慢性に浸潤していた。骨髄でも数%の白血病細胞がみられ,骨髄および腎での再発と診断した。その後,再寛解導入療法を行い両側腎腫大は消失し,骨髄も再寛解となったが,6ヶ月後に再発した。非寛解期に再度RISTで2回目のuBMTを施行し,再移植後5ヶ月で寛解を維持している。本症例のように腫瘤を形成せずび慢性両側腎腫大を伴って再発する例は稀と考えられるが,移植後に原因不明の腎機能障害がみられた場合は,血液検査のみではなく早期に画像診断を施行し,腎臓の形態も確認することが重要であると考えられた。
- 一般社団法人 日本血液学会の論文
一般社団法人 日本血液学会 | 論文
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