t(16;21)(p11;q22)を有し,再発後右乳腺に浸潤を来したCD56陽性急性骨髄性白血病(AML‐M1)
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概要
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症例は46歳女性。初診時にt(16;21)(p11;q22)転座を有し,表面マーカーCD13, CD33, CD34, CD41, CD56, HLA-DR陽性の急性骨髄性白血病(FAB分類-M1)を経験した。寛解導入療法後,一旦は完全寛解を得たが付加的染色体異常を伴って再発した。再寛解導入療法により再び寛解に至ったが,その後2回の乳腺浸潤と複雑な核型進展を伴った骨髄再燃を繰り返した。しかも骨髄では化学療法により芽球が抑制されている血液学的寛解の時期においても核型進展を認めた。本症例は経時的に染色体検査を施行することにより,t(16;21)転座の核型進展の経過観察が可能であった。t(16;21)転座型白血病が治療困難とされる理由の一つとして,複雑な核型進展も再燃に深く関与している事が考えられた。さらに腫瘍細胞におけるCD56の発現が髄外腫瘤形成能の獲得や予後不良因子の一つであることも推測された。
- 一般社団法人 日本血液学会の論文
一般社団法人 日本血液学会 | 論文
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