赤芽球と巨核芽球の2系統の細胞増殖を認めた染色体1;22転座型乳児白血病
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概要
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赤芽球と巨核芽球の2系統の細胞増殖を伴って発症し,再発時には,赤芽球および巨核芽球の両者の表面形質を有する細胞の増殖が主体となっていた乳児白血病の1例を経験した。症例は9カ月の女児。体重増加不良と貧血を主訴として入院した。肝脾腫,胸水貯留を認め,末梢血では,白血球増多,血小板減少,貧血を認めた。骨髄では,赤芽球が53.2%(PAS陽性,α-NA陽性,CD41陰性,MPO陰性)であり,細胞質にblebの目立つ巨核芽球を20.4%(PAS陽性,α-NA陽性,CD41陽性,MPO陰性)認めた。初発時には,CD41とGlycophorin Aを用いた2カラーのflow cytometryで,それぞれ単独に陽性となる細胞集団を認めたが,再発時にはdouble positiveの細胞集団が主体となっていた。また,染色体分析では乳児の急性巨核芽球性白血病(M7)に特異的な1;22転座を認めた。本例は,赤芽球系と巨核芽球系に共通した前駆細胞レベルでの白血化である可能性が考えられた。
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