CD3陰性,CD56陽性の鼻咽頭腔原発悪性リンパ腫の1例
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概要
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症例は73歳の男性で鼻出血と発熱を主訴に1992年8月,当科入院となる。理学的所見上,鼻咽頭腫瘤と全身の皮疹および3カ所の皮下腫瘤,脾腫,リンパ節腫脹を認めた。鼻咽頭と皮膚の腫瘤の生検結果より,非ホジキンリンパ腫(WF: Diffuse small cleaved)と診断された。入院時の血液検査は白血球数4,800/μlで,10%の芽球様細胞を認めた。骨髄像上,細胞質内にアズール顆粒のない約60%の芽球様細胞の多くは手鏡様の形態を示した。芽球様細胞の表面抗原は,CD56 (NHK-1)とIaが陽性,T細胞系,B細胞系,骨髄球系の表面抗原はすべて陰性で,TCR遺伝子再構成を認めず,本例の芽球様細胞はNK細胞由来であることが示唆された。皮膚および鼻咽頭腔の腫瘤に対する放射線療法後,芽球様細胞の急激な増加とDICを併発し,化学療法を行ったが,肺出血により死亡した。臨床経過と芽球様細胞の表面抗原より,本例はNK細胞由来の鼻咽頭腔原発悪性リンパ腫と考えられた。
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一般社団法人 日本血液学会 | 論文
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