化学療法と放射線療法を試みた副腎原発angioendothelial lymphomaの1剖検例
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概要
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angioendothelial lymphomaはB細胞由来の腫瘍細胞が全身諸臓器の小中血管内に増殖するまれな疾患で,生前診断は困難であり,治療法は確立されていない。われわれは副腎原発angioendothelial lymphomaを生前診断し,化学療法と放射線療法を試みた1例を経験した。症例は77歳,男性。直腸癌の手術目的で入院。術前検査で両側副腎の腫大を認め,ガリウムシンチで同部位に集積がみられた。直腸切除術後,経皮的副腎針生検でangioendothelial lymphomaと診断した。化学療法にて副腎腫瘍は劇的に縮小し,全身状態も著明に改善したが,経過中に痴呆症状が出現した。頭部造影MRIで多発性脳転移と診断し,放射線療法を施行した。併発した肺炎で死亡したが,剖検所見では副腎,脳,その他の臓器にも腫瘍細胞の残存は認めなかった。化学療法と放射線療法に充分な抗腫瘍効果があったものと思われる。
- 一般社団法人 日本血液学会の論文
一般社団法人 日本血液学会 | 論文
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