胸水中への好中球浸潤と高LDH血症を伴った治療抵抗性の多発性骨髄腫の1例
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概要
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症例は57歳の男性。胸痛および乾性咳嗽を主訴とし,胸写上胸部腫瘤陰影,貧血,高LDH血症を伴ったIgA-κ型の多発性骨髄腫と診断された。各種抗癌剤による化学療法に抵抗性で,急激な腫瘤の増大,LDHの急上昇を認め約4カ月の経過で死亡した。高LDH血症を伴う多発性骨髄腫は比較的まれであるが,LDH低値例に比べて予後不良とされている。本症例でも腫瘤の急速な増大と相関してLDHの著増が認められ,LDHが悪性度や病勢を表す良い指標であると考えられた。一方,経過中に感染の所見が認められないにもかかわらず,末梢血および胸水中に過分葉を伴う好中球増多が認められた。これは,胸水由来骨髄腫細胞の培養上清中に好中球誘導活性を認めたことより,腫瘍細胞由来の活性物質にもとづく現象であることが示唆された。
- 一般社団法人 日本血液学会の論文
一般社団法人 日本血液学会 | 論文
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