著明なLeukoerythroblastosisと多数のRinged sideroblastを認めた胃切除後Vitamin B12欠乏性貧血
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概要
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症例は77歳の男性。胃癌にて胃全摘,脾切除を受けてから11年後に貧血を指摘され,鉄剤,Vit剤(B1, B2, C)の投与を受けていたが改善しないため入院。RBC: 136×104/μl, Hb: 5.3 g/dl, Ht: 16%, と高度の大球性貧血とともに著明なleukoerythroblastosis (WBC: 11200/μl (Pro: 1%, Myl: 6%, Met: 4.5%), Ebl: 421/100 WBC)を認めた。骨髄は赤芽球系の過形成を呈し,ringed sideroblast: 15%を認めたが,巨赤芽球性変化は軽度であった。Vit B12は44 pg/mlと著減し,抗内因子抗体,抗壁細胞抗体が陽性であった。直ちにCH3-B12の投与を開始したところ貧血は急速に改善し,leukoerythroblastosisとringed sideroblastも2週後に消失した。胃切除後Vit B12欠乏性貧血は初診時に著明なleukoerythroblastosisを呈することはまれであり,ringed sideroblastは認められないといわれている。本症例はVit B12欠乏性貧血としてはきわめてまれな血液所見を呈したが,その原因として摘脾の関与が示唆される。
- 一般社団法人 日本血液学会の論文
一般社団法人 日本血液学会 | 論文
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