腎癌膵転移に対して2度の縮小手術を行った1例
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概要
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症例は63歳男性.1999年,右腎癌に対して右腎摘出術,肺転移に対してインターフェロン療法を施行した.2003年,2004年にそれぞれ脳転移に対して開頭腫瘍切除術及びガンマナイフ治療を施行した.2008年,孤立性膵転移を指摘され膵中央切除術を施行した.2012年5月,CTで尾側残膵に多血性腫瘤を指摘され腎癌残膵転移と診断した.他に遠隔転移を認めず,同年7月脾動静脈脾臓温存尾側残膵摘出術を施行した.病理組織診断にて腎淡明細胞癌の膵転移と確定診断した.腎癌膵転移は病変が多発することが少なくないが,異時性残膵転移切除報告例は本邦で3例のみである.我々は腎癌膵転移に対して2度の縮小手術を行い良好に経過している1例を経験した.腎癌膵転移では切除により良好な予後が期待でき,根治性とQOLに配慮した術式を選択すべきである.2度の縮小手術により残膵全摘を回避し得た示唆に富む腎癌膵転移の1例と考え報告する.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
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