術前診断に苦慮した中年男性の巨大Solid pseudopapillary neoplasmの1例
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概要
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症例は47歳男性.体重減少と心窩部痛がみられ精査を行った.腹部CTで上腹部に径21cm大の被膜で覆われた膵原発腫瘍を認めた.辺縁に多血性の充実成分を有し,中心性壊死・腫瘍内出血・石灰化を認めた.確定診断には至らなかったが,この腫瘍に対して,亜全胃温存膵全摘術・結腸合併切除術・門脈合併切除再建術を施行した.切除標本では,径26cm大の線維性の被膜に覆われた膵腫瘍を認め,内部に中心性壊死・出血を認めた.病理組織学的所見では類円型の核と好酸性細胞質を有する異型細胞が偽乳頭状配列を有し,免疫染色でCD10陽性,vimentin陽性,β-catenin陽性であり,SPNと診断された. SPNは比較的稀な膵腫瘍であり,多くが若年女性に発症するとされる.術前診断に苦慮した中年男性に発症した本邦最大級の巨大なSPNの1例を経験したので報告する.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
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