正中弓状靭帯圧迫による腹腔動脈狭窄を伴った膵頭部癌の2切除例
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概要
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正中弓状靭帯圧迫による腹腔動脈起始部狭窄を伴った膵頭部癌の2切除例を経験した.症例1は75歳,男性.心窩部痛の精査で膵頭部癌を指摘され,術前精査で腹腔動脈起始部の狭窄を認めた.正中弓状靭帯による腹腔動脈起始部狭窄を伴う膵頭部癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.正中弓状靭帯切離にても狭窄の解除がみられなかったため,胃十二指腸動脈-下膵十二指腸動脈吻合術を同時に行った.症例2は47歳,女性.心窩部痛,背部痛にて近医受診.精査で膵頭部癌を認め,腹腔動脈起始部狭窄を伴っていた.正中弓状靭帯切離のみで,腹腔動脈の血流の改善を認めたため,血行再建を行うことなく,膵頭十二指腸切除術を施行した.腹腔動脈起始部に狭窄や閉塞を伴う症例は稀ではなく,本邦ではその原因として正中弓状靭帯による圧迫が多いとされる.膵頭十二指腸切除術を行う際には,肝血流確保のための慎重な術前診断および術中精査が肝要である.
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