膵石の近傍に発生した浸潤型膵癌の1例
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概要
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症例は50歳代,男性.近医で膵石を伴ったアルコール性慢性膵炎,糖尿病加療中であった.腹痛を主訴に近医受診.腫瘍マーカーCA19-9が3228U/mlと上昇を認めたため,精査目的に当科紹介となった.腹部造影CT検査では,膵頭部に20×14mm大の造影効果の乏しい腫瘤を認めた.腫瘤近傍には20×10mm大の膵石を認め,末梢の主膵管は拡張していた.PETCTでは,腫瘤に強いFDG集積を認め,膵癌と診断し手術を施行し,浸潤型膵癌(fStage III)であった.本症例のように,膵石近傍に膵癌が発生した場合は,間接所見として得られる膵管拡張を膵石によるものと判断しやすく,膵癌早期診断が困難な可能性がある.膵石患者を経過観察する際には,その近傍に発生する膵癌に特に留意することが重要と考えられた.
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日本膵臓学会 | 論文
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