進行膵癌に対するレニン・アンギオテンシン系抑制による治療成績向上の試み
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概要
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癌に対する治療標的として注目されているレニン・アンギオテンシン系抑制による,進行膵癌の予後改善の試みについて概説する.最初に後ろ向きに検討した,gemcitabine単独療法の検討では,降圧剤としてACE阻害薬やアンギオテンシンレセプター阻害薬(ARB)の使用症例で,無増悪生存・全生存期間が長いという結果が得られた.続いて,ARBの上乗せ効果を前向きに検証するため,用量設定のためのgemcitabine・candesartan併用療法第1相試験と,安全性・有効性を検討する多施設共同第2相試験を行った.第1相試験では治療効果も期待できるものであったが,第2相試験では,candesartanの上乗せ効果は証明されなかった.しかし,基礎研究の結果からもレニン・アンギオテンシン系の抑制は,膵癌治療成績向上につながる可能性はあり,今後治療効果が期待できる症例を選択した臨床試験を検討中である.
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日本膵臓学会 | 論文
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