切除企図膵癌に対する術前治療戦略の意義
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概要
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切除膵癌の標準治療は術後補助化学療法だが,切除企図例には回復遅延や癌遺残も含まれる.切除企図膵癌を手術先行(S群)と化学療法先行(N群)に分け,術前治療の意義を考察した.切除企図例を対象とし,術後補助療法除外基準として,遠隔リンパ節,腹腔洗浄細胞診,癌遺残,治療遅延,血清マーカー高値を設定,両群から,適格例を抽出した.切除率は両群とも80%以上で,適格例はS群47%,N群53%であった.生存期間中央値(MST)は全例,補助療法例で,各々S群17.1,21.4ヶ月,N群21.2,31.6ヶ月であった.N群でレジメン別に比較すると術前GS療法(NAC-GS)のMSTは全例,補助療法例で25.2,35.8ヶ月で,いずれもゲムシタビン単剤(NAC-G)より有意に良好な成績を示した(p<0.05).術前治療は,切除・術後補助療法の機会を減じることなく,生存期間を延長することが示唆された.
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日本膵臓学会 | 論文
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