栄養改善からみた慢性膵炎に対する内視鏡的治療の意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
慢性膵炎に対する内視鏡的治療の意義を栄養改善の観点から検討した.12ヶ月以上の内視鏡的治療を要した19例を対象とし,栄養状態の評価指標としてBMI,血清アルブミン(Alb),総リンパ球数(Lym),小野寺のPrognostic Nutritional Index(PNI),総コレステロールの経時的変化をレトロスペクティブに解析した.治療開始後,腹痛発作がなかった12例では各栄養指標は有意に改善したが,腹痛発作が1回以上発生した7例では改善がみられなかった.Alb,Lym,PNIは治療後1~3ヶ月の期間に有意な改善を示し,BMIについては7~9ヶ月で有意な増加を認めた.内視鏡治療によって,腹痛発作を完全に防止できれば栄養指標の改善効果が得られ,その効果は10ヶ月以内に達成された.外科治療に先行する短期間の内視鏡治療は栄養障害の改善という見地からも有効な治療ストラテジーとなり得る.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
- 慢性膵炎に対する膵管ドレナージ手術の適応と予後
- 膵異時性多発癌の1切除例―浸潤性膵管癌切除1年11ケ月後の残膵にみられた,浸潤性膵管癌の1例―
- 膵粘液癌の2切除例
- 膵星細胞における壊死腺房細胞の貪食による膵線維化抑制機構の検討
- A case of remnant pancreas head carcinoma after distal pancreatectomy for primary invasive ductal carcinoma of pancreas body