腹臥位での脊椎手術後に重症急性膵炎を発症した一例
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概要
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症例は76歳女性で糖尿病,慢性膵炎の既往がある.第12胸椎の圧迫骨折のため脊椎短縮術,後方固定,後側方固定術を施行された.腹臥位で,手術時間6時間20分であった.麻酔覚醒後から腹痛が出現し,術後1日目も腹痛は強く,膵酵素,WBC,CRPの上昇を認め,予後因子スコア5点で重症急性膵炎と診断.造影CTでは膵頭部の腫大および膵頭部内の造影不良域を認め,右腎下極以遠までの滲出液貯留を認めたため,造影CT grade 2と診断.蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬膵局所動注療法などの治療を行った.術後16日目の造影CTでは膵頭部の造影不領域が増大し,右後腹膜膿瘍も増大した.十二指腸の壁構造は消失し,十二指腸壁の壊死と考えられた.術後18日目に膵頭十二指腸切除術(PD)を行った.手術では十二指腸は広範に壊死に陥り,後腹膜膿瘍を形成していた.術後は縫合不全など大きな合併症はなく,PD術後101日に退院した.
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日本膵臓学会 | 論文
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