異時性肝転移に対して2回の腹腔鏡(補助)下肝切除術を施行し長期生存中の膵mixed acinar-endocrine carcinomaの1例
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概要
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症例は70歳,男性.67歳時,膵尾部腫瘍に対して膵体尾部切除脾合併切除術を施行された.摘出標本は肉眼的に周囲との境界が明瞭な7.5cm大の黄白色の硬い腫瘍であった.免疫染色の結果,膵mixed acinar-endocrine carcinomaと診断された.摘出したリンパ節に転移が認められた.術後補助療法として1年間のS-1内服が行われた.術後4年経過後のCTで肝外側区域に約3cm大の腫瘤が認められた.異時性肝転移と診断し,腹腔鏡補助下肝外側区域切除術を施行された.病理組織では,腫瘍は黄白色の3cmの弾性硬の腫瘍で,組織学的に膵腫瘍と同様の腫瘍であり,mixed acinar-endocrine carcinomaの肝転移と診断された.術後早期から補助療法としてgemcitabine投与が行われた.肝切除後3ヶ月目のMRIで新たに肝S8に1cm大の腫瘍が認められた.異時性肝転移再々発と診断し腹腔鏡下肝S8部分切除術を施行された.病理ではやはり膵腫瘍と同様の所見であった.再肝切除後の補助療法には再びS-1内服が行われ,現在初回手術後56ヶ月で生存中である.
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日本膵臓学会 | 論文
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