分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍と慢性膵炎に合併したgroove pancreatic carcinomaの1例
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概要
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症例は56歳,男性.2004年から分枝型IPMN,慢性膵炎で経過観察されていたが,2008年にCA19-9の上昇を認め入院となった.腹部CTにて,膵頭部にIPMNと膵石を認め,いずれも2004年から徐々に増大していたが,IPMNに明らかな悪性所見はなかった.また,新たにgroove領域に不整な低吸収域を認め,癌を疑ったが,膵石や十二指腸浮腫状狭窄のため十分な画像評価が行えず,慢性膵炎急性増悪を繰り返していたため炎症性変化が否定しきれなかった.十分なICのもと経過観察としたが,2ヶ月後に閉塞性黄疸で再入院となった.腹部CTにて病変部は増大し,PETで集積を認めたため膵頭十二指腸切除術を行い,管状腺癌と診断した.分枝型IPMNの経過観察においては,全膵の発癌に留意する必要があるが,慢性膵炎を背景とするgroove領域からの発癌は診断が困難である場合がある.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
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