慢性膵炎に伴う脾仮性動脈瘤に対して動脈塞栓術施行後にFrey手術を施行した1例
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概要
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症例は61歳,男性.20年前より慢性膵炎の急性増悪を繰り返していた.激しい上腹部痛が出現したため,近医を受診した.腹部dynamic CT検査で膵全体に多数の結石と著明な主膵管拡張を認め,さらに動脈相で膵体部に脾仮性動脈瘤を認めたため当院紹介受診となった.脾仮性動脈瘤の膵仮性嚢胞内出血を考え,腹腔内穿破の危険性を考慮して,入院当日に脾動脈塞栓術を施行した.その後は貧血の進行を認めず,全身状態の安定を待ち,塞栓術後17日目にFrey手術を施行した.経過は良好で術後20日目に独歩で退院された. 仮性動脈瘤破裂は慢性膵炎の危険な合併症の一つであり,また慢性膵炎は他に基礎疾患を有していることも多く,術後の合併症予防の観点からも十分な術前検査の後に手術を行うことが望ましい.手術に先行したIVR(Interventional radiology)を用いた脾動脈塞栓術により,緊急手術を回避でき,状態が安定した中で手術が可能であった.
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日本膵臓学会 | 論文
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