嚢胞成分を伴い診断困難であったStage I浸潤性膵管癌の1例
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概要
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症例は51歳女性.検診の腹部USで膵腫瘤を指摘され紹介となった.EUSでは膵頭体部移行部に内部に嚢胞成分を有する10mmの低エコー腫瘤を認め,ダイナミックCTでは腫瘤は指摘できず5mmの嚢胞のみを認めた.ERPでは膵管像に異常はなく膵液細胞診はclass IIIであった.IDUSでは10mmの腫瘤内に5mmの嚢胞を認めた.以上より術前診断は確定できず,膵内分泌腫瘍,Solid-pseudopapillary neoplasm,浸潤性膵管癌(膵癌)などの疑診にて膵中央切除を行った.術中迅速病理検査は膵癌であったため,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術に術式を変更した.病理診断は中分化型管状腺癌でpTS1(15mm)pT1 pN0 cM0 fStage Iであり,嚢胞部分は拡張した腫瘍腺管であった.嚢胞を伴う小膵癌の診断は困難であるが,常に念頭に置き診療にあたることが重要と考えられた.
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日本膵臓学会 | 論文
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