膵内分泌腫瘍を合併した小膵癌の一例
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概要
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症例は無治療の糖尿病のある73歳男性で,口渇感を主訴に当院内科を受診した.HbA1c高値,腹部超音波検査で主膵管拡張を認め精査となる.腹部CTでは膵全体の萎縮と体尾部の主膵管拡張を認めたが,明らかな腫瘍性病変は指摘できなかった.EUSでは膵体尾部に主膵管の数珠状拡張があり,その頭側に径10mm大の辺縁不整な低エコー腫瘤が存在した.造影超音波検査では膵体部に造影効果のない径15×15mmの病変が存在し,ERCPでは膵頭体移行部での主膵管の途絶と尾側膵管の数珠状拡張を認めた.確定診断目的にEUS-FNAを施行し,病理組織診断は腺癌だった.膵亜全摘術を施行し,術後病理は,浸潤性膵管癌の診断だったが,膵尾部に偶発的な内分泌腫瘍が2つ認められ,MIB-1 index <1%と低値でありlow risk groupに分類された.膵内分泌腫瘍を合併した小膵癌の一例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
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