DPCデータからみた高齢者重症急性膵炎における抗菌薬治療の現状
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概要
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高齢者重症急性膵炎に対する抗菌薬治療の現状を明らかにするため,DPCデータを用いて抗菌薬の投与状況に関して分析を行った.治療開始時の年齢が70歳以上であった症例を高齢者と定義し(2111例),軽症例(1888例)と重症例(223例)に分類して比較・検討を行った.重症例では軽症例に比べ,メロペネム及びイミペネムシラスタチンが有意差をもって多く投与されていた(p <0.001).また,重症例では複数の種類の抗菌薬が投与された症例の割合が軽症例に比べ有意に高く,5種類以上の抗菌薬が投与された場合の入院中死亡率は52.6%と著明に高かった.高齢者における重症急性膵炎では,診療ガイドラインに沿った抗菌薬投与が行われていたが,多くの症例で複数の種類の抗菌薬投与が行われており,特に多数の種類の抗菌薬投与が行われた症例では入院中死亡率が高く,高齢者重症急性膵炎に対する抗菌薬治療の難しさが示唆された.
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