経過が追えた膵体部腺房-内分泌細胞併存癌の1切除例‐膵腺房細胞癌の早期画像とは‐
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
膵腺房細胞癌は稀な疾患で,発見時の平均長径は10cmと言われ,2cm以下で発見されることは極めて稀である.症例は61歳女性で,初診時の近医US/CTで15mm大の低エコー/低吸収像として発見され,嚢胞性病変に類似していたため経過観察となった.その後患者が来院せず,2年後に腹痛を主訴に再来した.この時,同病変は径3cmに増大しており,手術を勧めたが拒否された.その1年半後(初診から3年半後)に当院受診し,7cmに急速増大していると聞いて,ようやく手術を受けた.術後5カ月,多発肝転移により死亡した悪性度の強い癌であった.組織診断は,免疫組織学的検索を含めて膵腺房-内分泌細胞併存癌であった.一般に膵US/CT検査において,2cm以下の低エコー/低吸収像は多くが嚢胞性病変であるが,稀に腺房細胞癌など充実性腫瘍の早期像を見ている可能性もあり,経過観察前にdynamic CT/MRI,嚢胞と鑑別できなければ,EUS/PETなど精査が必要である.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
- 慢性膵炎に対する膵管ドレナージ手術の適応と予後
- 膵異時性多発癌の1切除例―浸潤性膵管癌切除1年11ケ月後の残膵にみられた,浸潤性膵管癌の1例―
- 膵粘液癌の2切除例
- 膵星細胞における壊死腺房細胞の貪食による膵線維化抑制機構の検討
- A case of remnant pancreas head carcinoma after distal pancreatectomy for primary invasive ductal carcinoma of pancreas body