FDG-PETにて集積不良であった腎細胞癌同時性膵転移の1切除例
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概要
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症例は58歳男性.腹部USにて約7cm大の右腎細胞癌と膵頭部の約2cm大の腫瘤を指摘された.Dynamic CT,MRI検査で膵頭部腫瘤は動脈早期から強く造影され,平衡相まで遷延した.PETでは原発巣に淡いFDG集積を認めたものの膵腫瘤には全く集積を認めなかった.右腎細胞癌と良性非機能性膵内分泌腫瘍と診断し,右腎摘出術および幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理学的には右腎は淡明細胞型の腎細胞癌であり,膵頭部腫瘍は腎細胞癌の単発転移として矛盾しない像であった.腎細胞癌膵転移と膵内分泌腫瘍はともに多血性腫瘍であり造影CT・MRI検査等で強い造影効果を示すため,しばしば鑑別に苦慮する.自験例ではFDG-PET/CTにおいて転移巣の集積も認めず,低悪性度の内分泌腫瘍と診断した.更なる高精度の術前鑑別診断を目指すためには,より多くの症例の集積・検討が必要と思われた.
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日本膵臓学会 | 論文
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