著明な膵管内発育と逆行性門脈内発育による脾内進展を呈した膵内分泌腫瘍の1例
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概要
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症例は70代,女性.虚血性大腸炎で入院した際に施行したCTで膵尾部に脾臓への直接浸潤を伴う腫瘤性病変を認めた.EUSでは膵尾部から膵体部へと連続する腫瘤性病変がみられた.ERPで膵頭体移行部にカニ爪様の膵管閉塞像を認め,同部位からの生検でchromograninA陽性,synaptophysin陽性の軽度異型を伴う類円形腫瘍細胞を確認した.以上の所見より主膵管内進展および脾浸潤を伴った膵尾部内分泌腫瘍と診断し,膵体尾部脾合併切除術を施行した.病理組織学的検査では,広範な脾静脈腫瘍栓が逆行性に脾臓内にまで進展していた.また,主膵管内腔に腫瘍細胞の増殖がみられ,主膵管内進展を呈していた.核分裂像は10強拡大視野で10個未満であったが,脾臓への肉眼的進展がみられたことから悪性膵内分泌腫瘍と診断した.術後補助化学療法は未施行であり,11ヵ月間が経過したが,現在無再発生存中である.
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日本膵臓学会 | 論文
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