悪性腫瘍に対する膵頭十二指腸切除術における自己血輸血導入の有用性について
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概要
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2002年9月より悪性腫瘍に対する(全胃温存)膵頭十二指腸切除術(以下,PD)に際して一定の条件化で自己血輸血を導入したのでその影響について検討した.2000年1月∼2007年4月までのPD連続135例の内,自己血導入前の38例を導入前群,その後の97例を導入後群とした.2群間で背景因子,輸血率,合併症率を比較検討し,さらに導入後群内で同種輸血を要する危険因子の同定を行った.2群間の比較にて,出血量のみ導入後群で有意に減少していた.術中同種輸血率は61%から35%へと有意に減少した(p<0.0001).導入後群内での比較検討にて,同種輸血群に比し自己血群と無輸血群では出血量は有意に少なく(p<0.0001),手術時間は有意に短かった(p=0.048).多重回帰分析を行った結果,同種輸血を要する危険因子は,術前Hb低値(Hb<11g/dl)と術中出血量過多(>1270ml)と同定された.
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日本膵臓学会 | 論文
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