経胃的膵管胃吻合術を施行した慢性膵炎の1例
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概要
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症例は50歳,男性.以前より慢性石灰化膵炎を指摘されていた.腹痛のため近医受診したところ,膵仮性嚢胞の増大を認め,当院内科入院となった.胃後壁膵仮性嚢胞に対して超音波内視鏡下嚢胞ドレナージが施行されたが,十分に奏効しなかった.右上腹部痛,高アミラーゼ血症が持続するため,手術目的に当科転科となった.CT, MRIで,膵頭部および膵尾部に仮性嚢胞を認めた.また,主膵管内に多数の結石とその上流の主膵管拡張を認めた.膵頭部の仮性嚢胞に対しては嚢胞空腸吻合術を,膵尾部の仮性嚢胞に対しては,経胃的嚢胞胃吻合術を施行した.さらに,膵管ドレナージは膵臓と胃が強固に癒着していたため,経胃的アプローチにて,術中エコー下に拡張した主膵管を同定し,膵管胃吻合術を行った.術後経過は良好であった.経胃的膵管胃吻合術の報告例はなく,膵前面に到達できない癒着のある症例では膵管ドレナージの1つの有用な術式である.
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日本膵臓学会 | 論文
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