膵炎再発予防に対する膵管ステント留置術の有用性
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概要
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膵石症に対する内視鏡治療において,併存する主膵管狭窄を治療することにより,膵炎や疼痛などの再発を予防し得るかは明らかでない.そこで,当施設で治療を行った膵石症61例について,症状の再発に寄与する因子を検討するとともに,膵管狭窄が症状の再発に及ぼす影響,膵管狭窄に対するステント治療による症状再発の予防効果について検討した.膵管狭窄は41例に合併し,24例に対してステントを留置した.平均観察期間3.3年で症状の再発を28例(46%)に認め,病悩期間が長いほど,症状再発のリスクは高くなった.膵管狭窄による症状再発のリスクは2.3倍(p=0.12),ステント留置による症状再発のリスクは0.35倍(p=0.057)であり,ステント治療の有用性が示唆された.一方で,留置中に13例(54%)に少なくとも1回の膵炎を合併しており,安全な留置法や留置期間などについては十分な検討が必要である.
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