慢性膵炎に対する非観血的治療の長期成績
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概要
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慢性膵炎は膵管狭窄や膵石により膵管内圧上昇をきたし,疼痛や仮性嚢胞を生じる.非観血的治療として,膵石に対する体外衝撃波結石破砕療法(Extracorporeal shock-wave lithotripsy:ESWL),主膵管狭窄に対する膵管ステンティング(Endoscopic pancreatic stenting:EPS),仮性嚢胞に対する内視鏡的嚢胞ドレナージ術が行われている.今回,非観血的治療の成績および長期経過について検討した. ESWLによる結石破砕率は91%であり,ESWL±内視鏡治療での結石消失率は87%であった.主膵管狭窄に対するEPS(7Fr,1∼2ヵ月留置)は,手技成功率99%,治療奏功率は95%であった.内視鏡的仮性嚢胞ドレナージ術の奏功率は,経乳頭的71%,経消化管的77%であり,両者を組み合わせると87%であった.長期経過では,再発率は51%であり,再発病変に対する再治療奏功率は84%であった.非観血的治療は1st line therapyとして約8割の症例において長期的に有効であったが,反復する内視鏡治療を19例(16%),手術を8例(7%)に要した.嚢胞を合併する複雑な病態や尾側病変は非観血的治療抵抗例が多く,外科治療の選択を考慮する必要がある.
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