膵石症治療に関する多施設症例調査
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概要
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膵石治療の現状と変遷を把握し,新たな診療指針の提示を目的に,日本消化器結石診療研究会主要34施設の多施設アンケート調査を行った.対象は回答を得た899例.性別は男性752例,女性122例.成因はアルコール性が最多で特に男性に多い傾向.治療内容はESWL+内視鏡治療が最多で,ESWL単独が次ぐ.内視鏡治療単独例は68例であり,外科治療は133例であった.治療効果では,ESWLは結石破砕効果92.4%と良好も,ESWL単独治療での結石消失効果は49.4%と不良.結石消失率ではESWLは内視鏡より不良(74.9%vs 87.5%)も,症状消失効果はいずれの治療も90%以上と良好.早期合併症は外科手術が最多で,内訳はESWLに膵炎や胆嚢炎·胆管炎,バスケット嵌頓が多いのに対し,外科手術は縫合不全が多い傾向.一方,後期合併症はESWLが最多であった.膵石再発はESWL,内視鏡は外科手術に比し有意に高率.腹痛再発は,ESWLは内視鏡や外科手術よりも有意に高率.ESWL,内視鏡治療は,いずれも多くは3年以内に膵石·腹痛再発が発生.今回の調査より,膵石治療の中心はESWLであると思われた.しかし,ESWLは低侵襲で早期合併症も少ないが,結石再発や腹痛再発率も高い.また,ESWL単独では結石消失率も低いため,他の補助療法の追加を検討すべきと思われた.
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日本膵臓学会 | 論文
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