側副血行路の発達した膵粘液性嚢胞腺腫に対し腹腔鏡下尾側膵切除術を施行した1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は40歳,女性.多発神経炎にて当院神経内科入院中に施行した腹部CT検査において膵尾部腫瘍を指摘され,精査加療目的で当科に紹介された.腹部CT検査にて辺縁整,内部均一な約6cm大の腫瘍性病変が膵尾部に認められ,脾門部に接していた.脾門部を中心に側副血行路が認められた.腹部MRI検査では膵尾部にT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号を呈す,辺縁整の6cm大の嚢胞性病変が認められた.T1強調画像では内部に隔壁構造を認めた.血管造影検査では脾静脈が閉塞し求肝性の側副血行路が認められた.以上,画像診断より脾静脈閉塞により側副血行路の発達した膵粘液性嚢胞腺腫と診断し,腹腔鏡下尾側膵切除術を施行した.われわれの施設では膵体尾部疾患に対し現在まで20例以上に腹腔鏡下尾側膵切除術を施行し良好な結果が得られている.発達した側副血行路を合併した症例でも鏡視下手術が有効であると考えられた.
- 日本膵臓学会の論文
日本膵臓学会 | 論文
- 慢性膵炎に対する膵管ドレナージ手術の適応と予後
- 膵異時性多発癌の1切除例―浸潤性膵管癌切除1年11ケ月後の残膵にみられた,浸潤性膵管癌の1例―
- 膵粘液癌の2切除例
- 膵星細胞における壊死腺房細胞の貪食による膵線維化抑制機構の検討
- A case of remnant pancreas head carcinoma after distal pancreatectomy for primary invasive ductal carcinoma of pancreas body