メシル酸カモスタット増量により高アミラーゼ血症の改善が得られた潰瘍性大腸炎合併慢性膵炎の1例
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概要
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24歳女性.23歳時,腹痛·下痢·血便で発症した,全結腸型潰瘍性大腸炎の患者.発症から1年4ヵ月後,血清アミラーゼ値上昇.自覚症状はなかった.薬剤性を考え,サラゾスルファピリジンを中止,メシル酸カモスタット300mg経口投与を開始した. 発症から1年10ヵ月経過,潰瘍性大腸炎が増悪し入院.入院時内視鏡でサイトメガロウイルス腸炎が疑われ,ガンシクロビルを投与.腸炎は改善したが,腹痛,血清アミラーゼ値の上昇を認め,膵炎と診断した.経過から非薬剤性を考え,原因精査目的にERCP施行,分枝膵管の不整拡張があり,慢性膵炎による変化と考えられた.メシル酸カモスタットを600mgに増量,以後膵炎の増悪なく,血清アミラーゼ値上昇を認めない. 潰瘍性大腸炎に伴う慢性膵炎はまれであり,メシル酸カモスタットを投与して経過を追った症例は少ない.臨床上重要であると考えられるため,文献的考察を加え報告する.
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