Gemcitabine併用放射線化学療法が奏功し膵頭十二指腸切除術を施行しえた進行膵癌の1例
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概要
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症例は62歳,男性.2006年4月,検診にて血清アミラーゼ値の高値を指摘され受診.腹部CTにて膵頭部に造影不良腫瘤と主膵管の拡張,上腸間膜動脈(SMA)周囲神経叢浸潤を認めた.また,ERCPにて膵頭部主膵管の狭窄と尾側膵管の拡張を認めた.局所高度浸潤膵癌と診断し放射線化学療法として総照射線量50Gy及びGemcitabine(GEM)600mg/m2の投与を開始した.2コース目以降,800mg/m2のGEMをBi-weeklyで施行し,3コース終了時の腹部CTにて原発巣でPRとSMA周囲神経叢浸潤の軽快を認めたため膵頭十二指腸切除術を施行した.病理検査にて十二指腸粘膜下筋層内に少数の癌遺残を認めたが,膵頭部は腺房萎縮と広範な線維化を認めるのみで明らかな癌細胞は認めなかった.現在,外来にてGEMによる化学療法を継続中であり,明らかな再発·転移は認めていない. 今回,SMA周囲神経叢浸潤を伴う進行膵頭部癌に対しGEM併用放射線化学療法が奏功し膵頭十二指腸切除術を施行しえた1例を経験したため報告した.
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日本膵臓学会 | 論文
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