脳転移・皮膚転移を呈した膵癌の1例
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概要
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症例は50歳,男性,心窩部痛を主訴に近医受診.CTで膵頭部腫瘤を認め当科紹介となった.血液生化学検査ではCA19-9, CEA, amylaseの高値を,画像検査にて膵のびまん性腫大,膵頭部に30mm大の腫瘤と同部より尾側の主膵管拡張,肝内に10∼25mm大の多発性腫瘤を認めた.内視鏡的逆行性膵管造影時の膵液細胞診で癌細胞を認め,肝内転移を伴う膵癌で膵炎併発と診断した.膵炎治癒後にgemcitabine 1400mg(3週投与1週休薬)+tegafur·uracil合剤300mgによる加療を開始し腫瘍縮小を認めたが,間質性肺炎のため中止した.以後,irinotecanによる治療を開始するも効果なく,脳転移·皮膚転移を認め初診より348日で死亡した. 現在,膵癌の脳転移·皮膚転移は稀であるが,今後化学療法の進歩に伴い長期生存例が増加すると考えられ膵癌の全身管理には脳転移·皮膚転移も念頭におく必要がある.
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日本膵臓学会 | 論文
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